搭乗体験記(超音速初飛行編)
初めて触るMIG-29、これからこいつに乗るのかと思うと興奮してくる。機体は想像していたよりコンパクトで、近くにあるMIG-25やSU-27と比べるとより小さく感じられる。
動力性能はF-14やF-15とほぼ同等のため、ひとたび空に上がればきっと凄いに違いない。
塗装色は本来、薄いブルーとグレーの迷彩色のはずですが、年数が経っているせいなのか、色が褪せほとんど全体がグレーであった。
ここが私の乗るコックピット。副操縦士は後ろの席になる。
メーター類の計器については、予めゲームにて予習をしておいたこともあり、ある程度理解できたが他は全く解らない。飛行中は左上にあるG計、速度計、高度計を景色と共に見ていたが、特に高度計は上昇中は凄い勢いでぐるぐる回っていた。G(重力加速度)計は小さなメターで、音速以下なら9G、音速を超えると7Gが機体強度の限界のため太めの目盛で表示される。
いよいよ念願のコックピット シートに座るとスタッフがしっかりとベルトを固定してくれる。機内に持ち込んだカメラについても飛ばない様に、ひもをスーツに結びつけてくれた。それだけ凄いことになるのだろうと徐々に緊張してくる。
その後パイロットが簡単な計器の説明と酸素スイッチの操作を教えてくれる。酸素供給スイッチは左側にあるスロットル近くにあり、高度が高くなったらONにすように言われたが、どのくらいで使用するのか具体的な高さが解らなかったこともあり、ついうっかりタイミングが遅れ、後で軽い低酸素症に陥り体調を崩す結果となってしまった。
エンジン始動 ヘルメットを被りキャノピーを閉めた状態でも音はけっこう凄い。外にいる人達はきっと耳をふさいでいたことでしょう。
機内での会話のテストを行ったところ、パイロットのアレキサンダーは片言の英語で話してくれた。 ロシア語でなくてよかった。その後もときどき“How
are you?”と声をかけて、私のコンディションに気を使ってくれた。
これからタキシングの開始、 緊張の瞬間、 ゴーグルのなかはきっとこわばった表情であったに違いない。まるで気分はトップガンのマーベリック大尉である。ただし、ムービーBを見るとわかるが、酸素マスクの取り付け方が甘く、凄まじいGロードにより、はずされそうになる。
エンジンの出力があがると同時に、上部からペリスコープと呼ばれるミラーが下りてきて、前方の視界が驚くほど良くなる。
フロントのコックピットにひけを取らない位に良くなり、タキシングからテイクオフまで、センターラインをキープしていのも良くわかる。仕組みについてはずっと疑問だったが、帰国後機体のエクステリア写真を見て理解できた。キャノピーの上部から反射鏡が前方を向いてでていたのです。速度がでるとスコープは閉じる仕組みになっているようです。ただ CCDカメラを用いビデオ撮影を希望する場合は、カメラを自分に向けて設置するためペリスコープは下りてこない。
さあいよいよ離陸開始。さらにエンジン音が高くなり、スピードが出るにしたがい体がシートに押し付けられる。コントロールタワーを右に見たころに少し上向きになり、ギアが地面を離れた。飛行中は機内に持ち込んだデジカメにてビデオムービー撮影に専念した。
映像はムービーAにて見れるが、撮影中はGのため腕が押されけっこうきつく、両手で支えたがぶれるほどです。
しばらくの間慣らすための低空の飛行を続ける。
翼の前にコックピットがあり、キヤノピーは広いため、前方はともかくとして旅客機や軽飛行機よりも景色がずっといい。
雲を抜けるとアフターバーナーを点火し急角度に上昇、あっという間に雲が遥か下に見える。そのまま高度11,000メートルまでわずか数十秒で上昇、軽飛行機と全く違う。本物の戦闘機はとんでもなく凄い。
その後、水平飛行に移り、マッハ1.3の超音速飛行に入る。ただ残念なことに、高高度なためにあまりスピード感を体感できず、しかも、音より速いのだから当たり前だが、マッハコーンは聞こえなかった。
そしてその後、自ら操縦桿を握ることになる。左右の旋回を試みてみると、敏感に機体が反応する。ところが直ぐにパイロットのアレキサンダーよりエアベースに帰ると聞かされる。あ〜短かった。もうこれで終わりなのかと空しい気持ちでしぶしぶ帰る。
ランウェイに無事ランディング、ただ、何かすっきりしない。基地につくとスタッフが大勢いる。パイロットが降りると皆が集まり何か話しを始めた。その後、飛行中にエンジンの回転計が僅かではあるが異常を感じたため、規定により帰らざるを得なかったと通訳から聞かされる。
ただそれは自分にとって大変ラッキーなことだった。希望メニューであるアクロバット飛行をこなしていないため、翌日もう一度飛ぶことになったからです。
そして、今度のアクロバット飛行ではとてもカメラはまわせないと思い、2日目のために飛行中のビデオ撮影をリクエストする。右の集合写真は2日目のもので、パイロット以外のスタッフはエンジニア、医者、基地のガイド、アシスタントスタッフと特別に今回のツアーの企画と同行してくれた旅行会社の若松さんです。
撮影は、旅行会社がたのんだ通訳のコンスタンチンさんにお願いした。
体験飛行が終了するとオフィスにて“Certifikate of Flight”と呼ばれる飛行証明書を発行してくれる。左側がロシア語、右側が英語で書かれており、内容は飛行機の型式、体験した最高速度、最高Gロード、最高高度です。写真は搭乗した同型機の写真のもので、最後にはパイロットのアレキサンダーのサインがしてあった。
通常は1枚しか発行してくれないものだが、私の場合2日に分けて飛んだため、特別に2枚発行してもらった。マッハ1.3、11,000メートル、6Gと書しっかりと書かれている。アクロバット飛行についての映像とコメントはムービーBにて触れております。Gについては映像ではほとんどわかりませんが、どんな内容かは百聞は一見にしかずです。